耳瘻孔の手術
耳瘻孔の手術

耳瘻孔は、正式には「先天性耳瘻孔」という生まれつき耳の前に小さな穴がみられる状態です。耳前瘻孔とも呼ばれることがあります。見た目は小さくても、軟骨に到達するほどの奥深くまで細い管(耳瘻管)が続いていることが多いです。普段は症状がない場合でも、分泌物や角質がたまるとにおいがしたり、炎症を起こして赤み、腫れ、痛み、膿などが出ることがあります。
耳瘻孔の周囲が赤く腫れて痛みがあるときや膿がたまっているときには、まず炎症を落ち着かせる治療を行います。状態に応じて抗菌薬の内服を行ったり、膿がたまっている場合には局所麻酔(部分麻酔)で切開します。
炎症を起こすと周囲の組織が硬くなり癒着が生じるため、根治を目的とした手術が行いにくい状態になります。そのため、まずはしっかり炎症を落ち着かせ、その後の様子をみながら次の治療を相談することが大切です。
炎症を繰り返す耳瘻孔では、開口部だけでなく、内部に続く瘻管を含めて切除する手術(耳瘻管摘出術)を検討します。一時的に腫れが引いても、瘻管が残っていると再発の原因になるためです。
当院での耳瘻管摘出術は局所麻酔で行う日帰り手術ですが、しっかりと摘出するための準備と手術時間が必要なため、受診当日の根治術は行っておりません。まず診察で炎症の状態やこれまでの経過を確認し、適切な手術時期をご相談したうえで後日行います。
過去に炎症や切開を繰り返している場合には、周囲が瘢痕化し癒着が強くなっていることが多いです。また炎症の広がりによって瘻管が分岐したり、穴が増えたりすることもあります。状態を丁寧に見極めながら、必要な範囲を手術で切除していきます。
1. 形成外科医が手術を担当
耳瘻孔の手術では、再発を減らすために病変をしっかり全摘出する必要があります。耳瘻管は軟骨に到達することが多く、まれに軟骨を貫くこともあり、一般的な皮膚のできもの・しこりの切除よりも難易度の高い手術です。当院では形成外科専門医である院長をはじめ、専門的なトレーニングを受けた形成外科医が手術を担当します。
2. 傷跡ができるだけ
目立ちにくいよう配慮
耳瘻孔の手術では、病変をしっかり切除することに加えて、耳の前の傷ができるだけ自然に見えるよう配慮することも大切です。手術である以上、傷跡が全くゼロになるわけではありませんが、形成外科的な切開や縫合を行い、整容面にも配慮して治療を行います。
3. 炎症を繰り返すケースにも対応
耳瘻孔は、炎症を繰り返すほど病変の境界がわかりにくくなり、全摘出も難しくなります。「何度も腫れる」「一度切開したがまた腫れた」という方はお早めにご相談ください。現在の炎症の状態と、これまでの経過を踏まえて治療のタイミングを考えていきます。
4. お子様のご相談にも対応
耳瘻孔は生まれつきのため、お子様のご相談も少なくありません。症状がなければ基本的には経過観察となることもありますが、腫れや排膿を繰り返す場合には治療を検討します。必要に応じて小児医療センターなどの専門病院へのご紹介も行っておりますので、気になる症状がある場合はご相談ください。
5. 痛みに配慮した局所麻酔
局所麻酔の注射には多少の痛みがありますが、できるだけご負担が少なくなるよう配慮しながら進めます。麻酔がしっかり効けば、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔には一般的な保険診療では使われることの少ない細い針を使用し、ご不安が強い方には、声かけをしながら丁寧に対応します。
6. 術後の傷跡治療も担当
耳の前は比較的目立ちやすい部位のため、順調な経過でもしばらく赤みが気になることがあります。当院は形成外科専門クリニックとして傷跡治療も行っていますので、術後に気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
診察
耳の前の開口部の位置、炎症の有無、これまでの経過を確認します。過去に腫れた回数や時期、切開の既往があるかも大切な情報です。
治療方針の決定
すぐに耳瘻管摘出術を検討するのか、まず炎症の治療や切開排膿を優先するのかを判断しご説明します。手術前に血液検査を行うことがあります。
処置・手術
炎症が強い場合には、受診当日に必要に応じて切開排膿などの処置を行います。根治術である耳瘻管摘出術は、後日のご予約となります。
術後説明
ご自宅での注意点、ケア方法などをご説明します。
術後診察・抜糸・病理診察結果の説明
通院回数は患部の状態によって異なりますが、順調であれば術後1~2回の通院で終了となります。切除した耳瘻管は原則として全例で病理組織検査を行うため、術後2~3週間で結果の説明があります。
傷跡の経過が気になる方は、ご希望に応じてその後も通院いただけます。
| 耳瘻管摘出術(片耳) | 約15,000円~ |
|---|
※診察料、処方料、検査代、病理判断料を含めた目安です。
局所麻酔の注射の際にチクッとした痛みがありますが、麻酔が効いてからの処置や手術中の痛みはほとんどないことが多いです。もし少しでも痛みが出たら麻酔を追加しますので、遠慮なくお伝えください。
赤みや腫れが強いときは、まず炎症を落ち着かせる治療を優先します。膿がたまっている場合には切開排膿を行い、炎症が落ち着いた段階で耳瘻管摘出術の時期を相談していきます。
切開排膿はたまった膿を出して炎症を改善するための処置です。痛みや腫れを和らげることはできますが、耳瘻孔そのものをなくす治療ではありません。炎症を繰り返す場合には、根治を目指して耳瘻管摘出術を検討します。
器具などの準備や時間と人手の確保が必要なため、受診当日の耳瘻管摘出術は行っていません。まずは診察で状態を確認してからご予約いただきます。
耳瘻孔は、内部の瘻管構造が残ると再発の原因になります。再発をできるだけ防ぐためには、病変の広がりを踏まえて適切に切除することが大切です。当院では、できる限り再発率を下げるために染色液や器具を用いて手術中に確認を行いますが、結果的に再発する可能性をゼロにはできません。
特に過去に炎症や処置を繰り返している場合は、癒着が強かったり瘻孔の形状が複雑化するために根治が難しくなることがあります。
はい。耳瘻孔は生まれつきの症状のため、小児でもご相談いただけます。症状の有無や炎症の頻度、年齢、ご希望など、おひとりおひとりの状況を踏まえて治療方針を相談します。状態によっては全身麻酔ができる病院にご紹介させていただく場合がございます。
手術のため傷跡は残りますが、通常は時間とともに目立ちにくくなります。耳の前は比較的目につきやすい部位のため、当院では整容面にも配慮して治療を行います。

TOP